LazyBird Diary

趣味

趣味は何かと問われたらベン・ベンジョンソン、新卒の履歴書でなくとも音楽鑑賞と旅行と読書とは答えにくい。
僕はプロの音楽家ではないので音楽は半分趣味ではあるが,普段レコードはかけたり,ライブを提供したり,音楽をつまみにして酒を飲んでもらったりしているので半分は飯の種にもなっているからだ。旅行は暇も金も無いので一年に一度が限界。読書は趣味だと意識した事は無い。衣食住、読・・・・・。生活の最低基盤になっているからだ。長年連れ添った奥さんを女と意識しない事に似ているかもしれない。
そうすると僕には趣味がなくなってしまうといえばそうではない。
将棋がある。
NHKで爆笑問題が羽生名人にインタビューする番組を見た。羽生は「何かを知っているという事はそれを避ける事も出来るができる」と発言していた。 
同じセリフを1Q84vol3の中で村上春樹が作中人物のタマルに言わせている。誰もが思う疑問「羽生は何故あれほどに強いのか」まずミスが少ない。逆に相手がミスをした時はそれを見逃さない。イチローのような一流アスリートにも共通しているし、全半の半分だけは一流のミュージシャンにも当てはまる。将棋で、ある互角の局面があるとする。そこから指せば強い方が勝つ。だがプロ同士ではある結論が出ていて先手良しの局面からは後手をもっては勝てなくなる。そうするとその局面は実戦では出なくなり、その戦法は廃れていく。羽生は相手が注文してきた戦法はほとんど受けて立つ。まさしく横綱相撲だ。これはなかなか出来る事では無い。多少なりとも勝てる確率が減るからだ。
「羽生の頭脳」という全10巻の現代将棋の定石の本がある。定番戦法の中盤での良く出てくる局面までの変化、そしてその局面の有利、不利を丁寧に解説している。僕の棋力では判断がつかない局面がたくさんある。そもそもアマチユアは得意な戦法が一つ、二つあれば良いのだ。良い直球とカーブがあれば甲子園までいける高校野球のように・・・・。
羽生の指し手で序盤、中盤では奇抜な手は無い。「まあ、そういう手もあるでしょう」という様なレベルだったりする。ところが終盤のギリギリになってその手が利いてくる事になったりするのだ。「今度隣に引っ越してきた・・です」と菓子折りを持って挨拶にきたメグ・ライアン風の子が殺人鬼だとは誰も思わないものだ。
爆笑問題の太田も言っていたが、羽生もイチローと同様日々の研鑚の中でボール半個のズレを感じ取れるようになっていったのだと思う。先日あった池田篤の3daysライブにも同質なものを感じた。
そしてその普通の積み重ねの延長線上に天才たちもいるという事実を平凡な人は認めたがらない。何か違う人種で有ってくれた方が気が楽だからだ。「まあ、この程度でという」落とし所を見つけてそれぞれの趣味を楽しんでいる。
僕は現在ほとんど指されなくなった相横歩取り、四五角戦法が好きだ。最も激しい戦法でレニングラードの攻防のようにいたる所に地雷、狙撃兵がいる戦いだ。アマチュアの間では人気の無い戦法で一手間違えば速負けにつながる。全財産を競馬につぎ込むようなスリリングさだ。僕自身も実戦では一局も指した事が無い。テレビ将棋ではこういう派手な戦いを見るのが好きだ。映画ではブルース・ウィルスがでてきて何でも爆破してしまうたぐいの映画は好きではないが、将棋は別だ。生活がかかっていない趣味だからだ。

本日の駄洒落
羽生名人に捧ぐ
Have you met miss マングース





05 May, 2010 | yoshida



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